現在、株式投資に使える分析アプリを作ろうとしています。
ただ、アプリを作るためには、そもそも「どのような基準で銘柄を探すのか」を決めなければいけません。
そこで今回は、清原達郎さんの著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』を読み、私が特に気になった内容をまとめます。
この記事では、主に次の3つの指標について紹介します。
- PER
- NCR(ネットキャッシュ比率)
- CN-PER(キャッシュニュートラルPER)
なお、この記事は書籍の内容をそのまま紹介するものではなく、私が気になった部分を抜粋し、自分なりの解釈で整理したものです。
詳しい内容は、YouTube動画でも紹介しています。
私が清原式投資にひかれた理由
私が清原さんの投資方法に興味を持った理由は、チャートの動きだけで売買を判断するのではなく、会社そのものを見て、その価値を考える方法だったからです。
もちろん、チャートを使った投資方法が間違っているわけではありません。
ただ、私は、
- 株価が上がったから買う
- 株価が下がったから売る
- 短期間の値動きに合わせて判断する
という、反射的な判断があまり得意ではありません。
それよりも、会社の事業内容や財務を調べながら、
この会社は、現在の株価よりも本当は価値があるのではないか?
と考える方が、自分には合っていると感じました。
株を買うことは、会社の一部を所有すること
株は、会社の所有権の一部です。
そのため、短期的にはさまざまな要因で株価が動くとしても、長い目で見れば、会社の価値が高くなることで株価の上昇も期待できます。
そう考えると、株を買うときに確認したいのは、株価の動きだけではありません。
- どのような事業をしているのか
- 利益を出し続けられるのか
- 会社にはどのくらい資産があるのか
- 経営者は会社を成長させようとしているのか
こうした会社の中身を調べることも重要になります。
成長株投資には「期待が崩れるリスク」がある
一般的な成長株投資では、企業が将来大きくなることを期待して株を買います。
例えば、
- 利益が今後も伸びる
- 新しい店舗を出す
- 商品やサービスの市場が拡大する
といった成長を予想して投資します。
企業が予想どおりに成長すれば、大きなリターンを得られる可能性があります。
一方で、すでに高い成長を期待されている企業は、その期待を少し下回っただけでも株価が下がる場合があります。
利益が増えていたとしても、市場が期待していたほど伸びなければ、
- 利益成長
- 成長の継続
- 成長期待の維持
のどれかが崩れたと判断され、株価が下落する可能性があります。
そこで清原さんの投資方法では、将来の成長だけでなく、会社が今すでに持っている価値にも注目します。
割安さを調べる3つの指標
書籍の中で、会社の割安さを考えるために登場するのが、次の3つの指標です。
- PER
- NCR(ネットキャッシュ比率)
- CN-PER(キャッシュニュートラルPER)
それぞれ、私なりに理解した内容を整理します。
1.PERとは
PERは、現在の株価が、1株当たりの利益の何倍になっているかを表す指標です。
計算式は次のとおりです。
PER = 株価 ÷ 1株当たりの当期純利益
例えば、
- 株価:1万円
- 1株当たりの利益:1,000円
だった場合、PERは10倍になります。
現在と同じ利益が続くと仮定すると、投資した金額に相当する利益を約10年で生み出す計算です。
一般的には、
- PERが高い:市場からの期待が高い
- PERが低い:市場からの期待が低い、または悲観的に見られている
と考えられます。
そのため、PERが低い会社は、割安株を探す最初の候補になります。
ただし、PERは業種によって水準が異なります。
成長が期待されている業種と、成熟している業種では平均的なPERが違うため、単純に「PERが低ければ必ず割安」と判断するのではなく、同じ業種の会社と比較する必要があります。
2.ネットキャッシュとは
次に、NCRを計算するために必要になる「ネットキャッシュ」について整理します。
ネットキャッシュとは、会社が持っている換金しやすい資産から、負債を引いたものです。
動画では、次の計算式を使っています。
ネットキャッシュ = 流動資産 + 投資有価証券 × 70%- 負債
流動資産とは、現金や売掛金、棚卸資産など、基本的に1年以内に現金化されると考えられる資産です。
投資有価証券は、会社が保有している株式などです。
ただし、流動資産が帳簿に書かれている金額のまま売れるとは限りません。
そのため、この計算式は会社の資産価値を厳密に求めるものではなく、最初のスクリーニングで大まかに評価するための計算として使われています。
3.NCR(ネットキャッシュ比率)とは
ネットキャッシュの金額だけでは、会社が割安かどうかを比較しにくい場合があります。
そこで使うのが、NCR(ネットキャッシュ比率)です。
計算式は次のとおりです。
NCR = ネットキャッシュ ÷ 時価総額
時価総額は、次の計算で求めます。
時価総額 = 株価 × 発行済株式数
NCRを見ることで、会社の時価総額に対して、どのくらいのネットキャッシュを持っているのかが分かります。
NCRが1の場合
例えば、
- ネットキャッシュ:1,000万円
- 時価総額:1,000万円
なら、NCRは1になります。
会社全体を1,000万円で買えるのに、その会社が借金などを差し引いた後で1,000万円の資産を持っている状態です。
この場合、かなり極端に表現すると、会社が行っている事業部分をほぼ無料で手に入れるようなイメージになります。
実際には、NCRが1を超える会社はそれほど多くありません。
ただ、NCRが高いほど、時価総額に対して会社が保有している資産が多いと考えられます。
ネットキャッシュの金額だけでなく、時価総額と比較する
例えば、ネットキャッシュが同じ50億円の会社が2社あったとします。
A社
- ネットキャッシュ:50億円
- 時価総額:100億円
- NCR:0.5
B社
- ネットキャッシュ:50億円
- 時価総額:500億円
- NCR:0.1
どちらもネットキャッシュは50億円ですが、時価総額に対する割合は大きく異なります。
A社は時価総額の半分に当たるネットキャッシュを持っていますが、B社は時価総額の1割です。
そのため、割安度を比較するときは、ネットキャッシュの金額だけでなく、時価総額に対する割合であるNCRを見る必要があります。
利益が積み上がると、割安株が再評価される可能性がある
割安株は、大きく成長しなくても、利益を出し続けることで会社の現金が増えていきます。
例えば、時価総額が60億円のまま変わらない会社が、毎年20億円ずつ利益を積み上げたとします。
- 1年目:ネットキャッシュ60億円
- 2年目:ネットキャッシュ80億円
- 3年目:ネットキャッシュ100億円
- 4年目:ネットキャッシュ120億円
株価が変わらなければ、会社が持っている資産と時価総額の差が、年々大きくなっていきます。
すると市場から、
この会社は、保有している資産に対して株価が安すぎるのではないか?
と見直され、株価が再評価される可能性があります。
つまり、急激に利益成長していなくても、利益を出し続けてネットキャッシュが増えることで、割安さがさらに大きくなる場合があります。
4.CN-PER(キャッシュニュートラルPER)とは
CN-PERは、会社全体のPERからネットキャッシュの価値を取り除き、事業部分だけを評価するためのPERです。
計算式は次のとおりです。
CN-PER = PER ×(1 − NCR)
例えば、
- PER:15倍
- NCR:0.9
の場合は、
15 ×(1 − 0.9)
= 15 × 0.1
= 1.5
となります。
会社全体のPERは15倍ですが、会社が持っているネットキャッシュを除いて事業部分だけを見ると、PERは1.5倍という計算です。
この場合、事業部分がかなり低く評価されている可能性があります。
PERだけを見ると特別に安く見えない会社でも、NCRとCN-PERを一緒に確認することで、違った見方ができるということです。
割安には理由がある
ただし、数値上は割安に見える会社でも、必ず投資すればよいわけではありません。
株価が安いことには、何か理由がある可能性があります。
例えば、
- 業界全体が衰退している
- 今後赤字になり、ネットキャッシュが減る可能性がある
- 大規模な設備投資が必要になる
- 経営者が株価や株主還元を重視していない
- 会社の資産が有効に使われていない
といった問題です。
そのため、PERやNCR、CN-PERを使って銘柄を絞り込んだ後は、なぜ市場から安く評価されているのかを調べる必要があります。
数値は、投資先を自動的に決める答えではありません。
詳しく調査する会社を見つけるための、最初の入口として使うものだと考えています。
割安な優良企業が成長すると、大きなリターンになる可能性がある
割安な会社が利益を出し続け、市場から再評価されれば、株価の上昇が期待できます。
さらに、その会社自体が成長すれば、
利益の成長 × 市場からの再評価
という2つの要素が重なる可能性があります。
特に小型株は、大企業と比べて市場から注目されにくく、割安なまま放置されていることがあります。
また、会社の規模が小さいため、事業がうまく成長したときの伸びしろも大きくなります。
ただし、小型株の成長性を考えるときは、数字だけでは判断できません。
- 経営者に会社を成長させる強い意思があるか
- 経営者と目標を共有する人材がいるか
- 競合企業に押しつぶされない強みがあるか
- 会社の成長とともに、その強みも大きくなるか
といった点も確認する必要があります。
会社のホームページも確認する
経営者の考え方を知るためには、会社のホームページやIR情報も確認します。
特に見たいのは、
- 社長のメッセージ
- 中期経営計画
- 決算説明資料
- 今後の成長方針
- 株主還元についての考え方
などです。
会社のホームページを見ることで、経営者が会社をどのように成長させたいと考えているのかを知る手掛かりになります。
読んで感じたこと
今回『わが投資術』を読んで、会社が今の時点で割安かどうかは、PER・NCR・CN-PERなどを使って、ある程度スクリーニングできると感じました。
一方で、今後会社が成長するかどうかを、ホームページや決算資料だけから判断するのは簡単ではありません。
そこで、成長株の見つけ方についても勉強するため、次に『ピーター・リンチの株で勝つ』を読みました。
第3回では、『ピーター・リンチの株で勝つ』から学んだ、
- 身近な場所から成長企業を見つける考え方
- 企業を6つのタイプに分類する方法
- 成長率と株価の割安さを比較するPEG
- 株を買う前に作る「ストーリー」
などについてまとめます。
まとめ
今回学んだ割安株探しの流れを整理すると、次のようになります。
- PERを使って、市場から低く評価されている会社を探す
- ネットキャッシュを計算する
- NCRで、時価総額に対する資産の割合を確認する
- CN-PERで、事業部分だけの割安さを考える
- なぜ安く評価されているのかを調べる
- 経営者や会社の成長性を確認する
今後作成する株式分析アプリにも、PER・NCR・CN-PERを表示し、条件を指定して銘柄を絞り込める機能を追加したいと考えています。
ただし、数値だけで投資先を決めるのではなく、その会社が安く評価されている理由や、今後の成長可能性まで調べられる形を目指します。
今回の内容はYouTubeでも紹介しています。
次回は、ピーター・リンチの『株で勝つ』から学んだ、成長株の探し方についてまとめます。
※この記事は、書籍を読んだ私個人の解釈と学習記録です。特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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